学科試験
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Q.特定避難時間倒壊防止建築物とは?
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ben007様より 2019.3.10
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令第112条の1項、2項、3項の対象建築物の違いについて。 私の解釈では1項; 主要構造部が耐火構造または準耐火構造、2項と3項; 27条1項の特殊建築物で特定避難時間倒壊防止建築物と準耐火建築物の細かい分類が分かりません。
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A.特定避難時間倒壊防止建築物は大型木造CLT3階建等を想定 ...ほぼ準耐火建築物
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雲母未来 2019.3.12
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特定避難時間倒壊防止建築物は大型木造CLT3階建等を想定したものです。木造をなんとか耐火建築物に近い取り扱いをしたいために考えられた手法です。そうでないと都市部で木造3階建以上の建物は建たなくなってしまいます。もちろん木造は耐火建築物にはなりませんせんので、それをクリアするために、とても複雑なルールとなっています。 正確にはすべての法令該当文を正確に読むしかありません。
質問は、令第112条の1項、2項、3項(面積区画)の対象建築物が何かということです。
そこでまず、耐火建築物の定義を明確にします。 耐火建築物=主要構造部耐火構造+開口部遮炎性能(or準遮炎性能) ❖耐火構造 法2条七号 耐火性能を持つ構造(耐火性能=通常の火災で位①非損傷(1〜3時間)、②遮熱性1時間、③遮炎性1時間) ❖開口部 特定防火設備=遮炎性能(令112条第1項(下段に記載)= 通常の火災1時間遮炎→1.5mm以上の鉄板) or 防火設備=準遮炎性能を持つ扉( 令136条の2の3 = 周囲に発生する通常の火災20分遮炎→0.8〜1.5mmの鉄板) or 法2条九号の二 ロの=遮炎性能( 令109条の2 =屋内または周囲に発生する通常の火災20分遮炎→網入ガラス)
その上で、耐火建築物と比較しながら令第112条第1,2,3項を読みますと、特殊建築物を含め下記条件を満たすすべての建築物が対象となっているということになります。
❖令第112条の1項の対象建築物(耐火・準耐火建築物) 1項前半記述から ①1500㎡以下を含めすべての「耐火構造とした建築物」(=開口部に防火設備等を使用した耐火建築物、開口部に防火設備等を使用しな耐火構造の建築物)、 ②1500㎡以下を含めすべての「法第2条九号の三 イ・ロ」(=準耐火建築物)、 ③1500㎡を超える全ての建物が対象となります。つまり、特殊建築物はほとんど含まれます。
❖令第112条の2項の対象建築物(特定避難時間倒壊等防止建物1時間未満) ①特定避難時間(法27条第1項)が1時間未満の特定避難時間倒壊等防止建物 ②法別表1(い)欄(5)項、(6)項の準耐火建築物である特殊建築物(耐火建築物であっても入る)(法27条第3項) ③準防火地域内の建築物(法第62条第1項) (1)4階以上または1500㎡を超える耐火建築物は対象外 (2)500㎡を超え1500㎡以下の準耐火建築物(耐火建築物であっても入る) (3)3階以上または500㎡以下の開口部が防火設備、また は外壁防火構造のすべての建築物(令第136条の2)...ようするにほぼ木造 ④特定防災街区整備地区内にある準耐火建築物(法第67条の3第1項)…耐火建築物は対象外
❖令第112条の3項の対象建築物(特定避難時間倒壊等防止建物1時間以上) 令第112条の2項のうち、 ①柱梁不燃型準耐火構造(令第109条の3第二号) ②1時間準耐火に適合する準耐火構造(令第109条の3第二号)である建物
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製図試験
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Q.プールの構造
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ikkyu1985様より 2018.7.25
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プールの構造がよくわかりません。床、梁はどのように作図すればいいのでしょうか。
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A.プールの構造はお弁当箱型
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雲母未来 2018.8.5
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プールの構造は1.2mの深さのあるお風呂と同じになるのですが、梁だけですとバランシングタンクや排水槽など各種設備が置けなくなるため、二重スラブ構造を推奨します。具体的には下図(1/200の作図)を参照してください。
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試験制度・受験内容
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Q.製図試験受験回数の撤廃は?
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heikoujyougi6045様より 2018.12.25
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製図試験の角番制度が廃止され、学科試験に合格すれば製図は何度でも受験できるという制度改正があると聞きましたが、いつからなのでしょうか。
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A.2020年から撤廃される可能性大 !
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雲母未来 2018.12.28
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近年、一級建築士は40歳〜50歳の層が厚く、2030年には60%に減少します。そこで試験元では、設計製図の受験回数制限を撤廃し、何回でも受験できるように法改正されました。2020年の受験から適用される予定です。
法改正内容 1.大学の建築学科で指定科目を修めて卒業すれば、直ちに一級建築士を受験できるようになります。 ❖建築士法14条一号 実務経験にかかる記述が削除
2.工業高校等で指定科目を修めて卒業すれば、直ちに二級建築士を受験できるようになります。 ❖建築士法15条一号 実務経験にかかる記述が削除
3二級建築士は、直ちに一級建築士を受験できるようになります。 ❖建築士法14条二号 実務経験にかかる記述が削除
4.従来、受験資格の要件とされていた実務経験は、免許の登録要件となります。 改正前に受験資格として扱われていた実務経験は、免許を受けるための登録要件と代わりました。また、試験合格の前後の実務経験を通算することも認められます。
5.改正法は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されることになります。 公布から2年以内の施行ですので、早ければ2020年の試験から実施されることになります。
審議会で検討されていた「学科合格者の製図試験受験回数制限の撤廃」「大学等の建築教育との整合性」や「CADによる製図試験の導入検討」についてはまだ先となります。 ただし、これらは法令により制限するものではなく、試験の運用なので2020年から学科合格者の製図試験受験回数制限が撤廃される可能性は高いと思われます。
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製図試験
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Q.延焼ラインの範囲
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pick-up-kk様より 2018.8.10
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遊歩道の南に公園があり、遊歩道を隔てて延焼ラインを設定する場合、遊歩道の道路中心線から3mまたは5mの位置に延焼ラインはあると判断すべきなのでしようか。
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A.道路を挟んで公園があれば延焼ラインはなし!
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雲母未来 2018.822
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南側の公園が「防火上有効な公園」ならば延焼ラインはないと判断すべきです。「その公園に建物が建つ可能性があるかないか」で特定行政庁が判断するというのが基準ですが、「防火上有効な」という記載がなくても公園が建物の敷地幅程度あれば防火上十分に有効と考えてもよいでしょう。もっとも公園の隣地境界にガスボンベ室などがある場合は特定行政庁は延焼ラインの設定を指示することになりますが... もし、公園がなければ、延焼ラインは遊歩道の道路中心線から1階3mまたは2階以上5mの位置となります。また、プールのような2層吹抜けがある場合は、建物の2階の床レベルの高さで延焼ラインの位置が変わります。 尚、4m未満の遊歩道は「みなし道路(2項道路)」として取り扱います。(細かい条件がない以上、そうしないと問題が成立しません。)
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学科試験
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Q.1次2次設計と計算ルート、構造計算方法の関係は?
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lovefighterr様より 2019.3.22
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1次設計とは何をすることですか。また、1次設計の構造計算とルート1,2,3の関係がよくわかりません。また、それぞれの構造計算とルートとの関係もわかりません。
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A.1次2次設計は地震の大きさで分類、計算ルートは建物規模・種別で分類
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雲母未来 2019.3.23
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(1)1次設計と2次設計の違い ❖1次設計:日常の外力、稀に生じる外力(震度4程度の地震C=0.2)に対して、構造部材が損傷を生じないこと ...許容応力度計算(すべての建物) ❖2次設計:極稀に生じる外力(震度7の大地震C=1.0)に対して、崩壊・倒壊などしないこと ...保有水平耐力計算または構造関連規定のみ適用 建物の規模・構造種別で下記のようにルートを分類して構造計算を実施
(2)2次設計のルート選定 【ルート1】13m以下の木造・S造または20m以下のRC造・SRC造 ・高さ13m以下低層木造 →【ルート1】=構造関連規定を満足 ・3階以下の低層組積造 →【ルート1】=構造関連規定を満足 ・高さ13m以下の鉄骨造 ➀スパン6m以下、3階以下 →【ルート1-1】C≧0.3+梁柱保有体力接合 ➁スパン12m以下、2階以下 →【ルート1-2】C≧0.3+梁柱保有体力接合+偏心率≦0.15+幅厚比規定+梁保有体力横補剛 ・20m以下のRC and/or SRC→【ルート1】=構造規定を満足+設計せん断力の割増
【ルート2】層間変形角≦1/200+高さ≦31mの建築物 ・剛性率≧0.6 ・偏心率≦0.15 ・搭状比≦4 の確認 ・構造関連規定を満足 ➀【ルート2−1】靭性型 耐力壁が水平力を負担 Σ2.5αAw+Σ0.7αAc≧0.75ZWAi(SRCは0.7→1.0) ➁【ルート2−2】強度型 袖壁のついた柱・壁が水平力を負担 Σ1.8αAw+Σ1.8αAc≧ZWAiβ(SRCは1.8→2.0)
【ルート3】層間変形角≦1/200+高さ>31mの建築物 ・保有水平耐力計算(限界体力計算などの上位の構造計算をおこなってもよい。) 水平保有体力Qu≧必要水平保有体力Qum(=Ds*Fes*Q') Ds =構造特性係数 0.25〜0.5 (S造0.3〜0.55) Fes =形状係数 (1.0〜2.0) Q' =せん断力 =C・W =(Z・Rt ・Ai・Co)・W
(3)高層ビルの構造耐力計算(31m以上60m未満の高層ビル) ❖2次設計に相当する高層ビルの構造計算 ➀限界体力計算(31m以上60m未満の高層ビル) 安全限界体力(Qsi=荷重変形関係曲線の最大荷重点)/作用する地震力(Psi=Sao(応答スペクトル)*mi*Bsi*Fh*Z*Gs) ≧1.0〜1.5 ➁時刻歴応答解析(60m以上の超高層ビル)
❖構造計算の難易度 許容応力度計算(積載荷重から計算)<水平耐力計算(地震力から計算)<限界体力計算(地震加速度から解析) <時刻歴応答解析(時刻別変位から解析)
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